ロジスティクス・マーケティング

2010.02.14

コラム 2010年1月のニュースから ― 組織再編の動向

1月だけでも組織再編について下記の記事を掲載しました。事業強化や営業地域拡
大のための組織再編と、コスト削減を意図したリストラやアウトソースなどの組織
再編に分類しました。

1強化
1)事業と地域の強化
DB Schneker Rail 伊NordCargo株式過半数取得
2)関連事業と地域事業の強化
KL 米国物流会社へ資本参加

2リストラ、アウトソーシング
1)選択と集中の推進
TNT チェコのコールセンター業務売却
TNT ドイツ子会社売却
2)アウトソース
ドイツポスト ITアウトソース推進

注目点は、TNTの非中核事業を売却することで選択と集中をすすめる戦略を強化し
ている点です。09年度は世界金融危機の影響でエキスプレス業界は軒並み減収演繹
ですので、業績悪化が要因となっているとは思います。

それでも06年以降進めるメールとエキスプレス事業からなるネットワーク事業への
集中戦略は見事です。ただ09年度のような市場の崩壊局面では、事業ポートフォリ
オの狭さがリスクとなることも明らかになりました。

ドイツポストのITノアウトソーシング推進も多少驚きでした。前例としてはマース
クがマースクデータをIBMへ売却したことがありました。メールサーバーの自社所
有をやめてGoogleのサービスを利用する例もありますが、高度化するITをすべて自
社管理するには経営資源面で制約が多くなりすぎているのだと思います。

クラウドコンピューティングの進展とともにロジスティクス業界でもトレンドとな
ると思われます。 



2010.02.14

国際物流財務(3) 日本の物流コスト

JILS2007年度の調査結果の日本の産業別物流コストです。物流コストの算定は経産
省が発表した物流コスト算定マニュアルに基づきます。



売上高物流コスト比率

全業種 4.48%
製造業 4.79%
非製造業 5.00%
卸売業 4.96%
小売業 5.28%
その他 3.09%


物流機能別構成比
輸送費 58.20%
保管費 16.30%
その他 25.50%

支払形態別構成比
自家物流費 17.50%
物流子会社支払い 17.00%
事業者支払い 65.50%

領域別構成比
販売物流費 71.20%
社内物流費 20.20%
調達物流費 8.60%

特徴としては製造業よりも非製造業の方が売上高物流コスト比率が高く、その中で
も小売業高いことです。絶対額では製造業が非製造業より大きいはずです。

構成別では運送費の割合が6割あること、自家物流よりも下請けへの支払いが多い
こと、調達や社内物流より販売物流コストが多いことです。この運送費にはトラッ
ク、鉄道、航空、船舶なども含まれますが、最大のコストはトラック輸送費です。

以上から製造業において、販売物流の下請けへ払う運送費(特にトラック輸送費)
が最大の物流コストであることがわかります。

ちなみに、売上高物流比率は、上場企業の有価証券報告書から販管費と製造業原価
の物流関係項目を集計して算出したデータでは、JILSの半分以下となります。物
流に係わる人件費や施設費用などを正確に配費出来ていないためだと考えられま
す。

従って物流費を正確に把握する事が、物流コスト削減の第一歩であると言えます。




2010.01.10

DBシェンカー コントラクト・ロジスティクス業務強化

DBシェンカーがコントラクト・ロジスティクスを強化するという記事がありまた。

具体的には自動車、消費財、電気、中規模産業機械の業界をターゲットに、米国、
ドイツ、中国でのコントラクト・ロジスティクス業務の受注獲得を目指しているよ
うです。いわゆる日本国内でいう3PL業務と同じ意味ですが、グローバル性の点
で広がりが大きいといえます。

具体的には、強化を目指す地域での倉庫・配送業務に、同社のネットワークを活用
した、航空・海上のフォワーディングによる調達・出荷物流を行うことを目指すよ
うです。

コントラクト・ロジスティクス事業の規模については、ドイツポストの
2008年度アニュアルレポートに下記情報があります。同社のアニュアルレポートの
充実度の参考例ともなります。

コントラクト・ロジスティクス 2007年上位5社

市場規模 EUR206billion \26,780
    シェア  売上
DHL 6.4% \1,714
Ceva 1.7% \455
Kuehnes+Nagel 1.4% \375
Wincanton 1.3% \348
UPS SCM 1.3% \348
単位10億円
出典: ドイツポスト推計

DBシェンカーの戦略は、同分野の市場成長率が高いこともありますが、DHL、
Ceva、K+Nなど競合が同分野を軸に成長を続けているための競争戦略も含ん
でいると思われます。

先日、従来は日系船会社やロジスティクス企業を起用していたソニーとSECが、
共同で欧州系フォワーダーなども含めたグローバル・ロジスティクス・ビッドを行
うとの記事がありましたが、間違いなくDHL、K+Nなどを念頭に置いたことだ
と思います。

こうした企業に対抗できるだけの日系企業がどれだけ存在するのか非常に不安です
が、日系メーカーは日夜グローバルな競争にさらされています。日本のロジスティ
クス企業も船会社だけでなく、真のグローバル企業に生まれ変わるための企業戦略
とその実行が求められていると思います。



2010.01.10

国際物流財務(2)

日米欧の大手ロジスティクス企業の経営分析をする機会が数社のアニュアルレポー
トを比較する機会がありました。

内容的に欧州系ロジスティクス企業のアニュアルレポートが一番内容が充実してい
たと思います。

それぞれの特徴としては、

欧州系企業は、事業セグメント情報、地域セグメント情報などを事細かに説明して
おり、また企業戦略やブランド戦略などについても細かく説明があります。マーケ
ット状況や企業のおかれたマーケットポジション、企業の内部状況、企業戦略とし
て狙っていることなどが非常に明確に把握可能です。それだけで経営分析が行える
ほど充実しているといえます。

米国はそれに継ぎますが、米国中心の世界観をそのまま反映しているような印象で
す。事業・地域セグメントをみると収益構造が米国の事業に大きく偏っていること
も反映しているためかもしれませんが、米国国内事業を中心の事業だと非常に明確
に理解できます。

日本は数年前よりも格段に向上したと思いますが、もっと詳しいセグメント情報な
どの内部環境情報や、さらに欧米企業同様のマーケット情報など外部環境分析のた
めの情報などもほしいところです。

経営学的に、企業活動のグローバル化(国際化)の段階理論がありますが、アニュ
アルレポートからだけ判断するロジスティクス企業のグローバル化段階では、

国際化   日本
多国籍化  米国
グローバル化 欧州

という印象を受けます。



2009.12.10

コントラクト・ロジスティクスの成長

K+NやCevaがコントラクトロジスティクス分野で売上を拡大しています。ドイツ
ポストやK+Nは、事業セグメントのひとつにコントラクトロジスティクスがあり
ます。ドイツポストは、グローバルプレート、サプライチェーンと同じ分野として
います。

2008年度までのK+Nについていえば、コントラクトロジスティクス業務を強化し
ていることが、好業績の大きな要因でした。2008年度だけでもサムスンやエアバス
など数多くのコントラクトロジスティクス業務の契約を獲得しております。05年か
ら08年にかけてコントラクトロジスティクスセグメントは売上高を約255%成長さ
せて、08年度4,732百万ユーロ(6151億円。130円換算)の規模をもちます。

コントラクトロジスティクスの定義ですが、期間、料金、サービス範囲などを明記
した契約に基づいて行うロジスティクスサービスです。倉庫と配送業務が絡むロジ
スティクス業務が該当する場合が多いと思いますので、実質的には日本でも多くの
ロジスティクス事業者が同分野でサービスを提供しております。ただ正式な契約書
を締結して、いるかどうかが大きなポイントです。

参考までにに契約書については国土交通省から3PL契約書ガイドラインが公表さ
れておりますので参照してください。

荷主の経営資源のコア業務への集中化、コスト削減を目的としたロジスティクス業
務のアウトソーシング化が背景としてあるものと思います。コントラクトロジステ
ィクス業務をグローバルに延ばすためには、ITの整備、幅広いワンストップサー
ビス、グローバルなサービス体制などが求められるといわれます。K+Nについて
は、事業強化のための欧州を中心とした組織再編を積極的に行いながら事業拡大を
図りました。





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