2009.11.29
TNTの経営戦略 2 - 選択と集中
***(1)TNTの経営戦略 - 選択と集中 ***
前回の環境分析から考えられる戦略からTNTが選択した戦略を見てみたいと思います。
(戦略代替案)
*自社の強みと市場機会を活かすためには、エキスプレス、メール事業を強化して、
東欧や中国市場へ進出するという戦略案がある。
*弱みを補うためには、ロジスティクス、フレートマネジメントを強化して、
ワンストップショップへ対応するという戦略案がある。
結論としては前者を選択しております。
A.事業分野の選択と集中
USPやFEDEXのようにワンストップショップでなくてもエクスプレス、メール事業で成
長可能と判断して、エクスプレス、メール事業へ経営資源を集中させたようです。
そのための手段として下記の経営戦略が生まれたと考えられます。
ロジスティクス部門の売却 アポロ・マネジメントへEUR 1,480 million(2250億円)で売却。
http://www.j-log.sakura.ne.jp/eloginet/index.php?ID=13
フレートマネジメントの売却 GEODISへEUR460million(750億円)で売却。
http://www.j-log.sakura.ne.jp/eloginet/index.php?ID=22
事業売却により一時的にリストラを行い、資源を成長分野に集中させ、次なる成長を
目指していると思われます。
B.市場の選択と集中
事業分野だけではなく、市場についても選択と集中を行っています。
成長市場である東欧や中国への経営資源の集中と、中国とEU間の物流を強化しています。
一方で、世界最大の市場でもある米国市場は捨てているような感じです。
米国なしでもエキスプレスキャリアーとしてUPS、FEDEX、DHLなどと競合可能と判断して、
米国は強化しない戦略(JOC 17/7/06)という見方もあります。。
***(3)TNTの戦略から学ぶこと ***
本当に絵に教科書通りの選択と集中という感じです。
TNTのニュースを読んでいるとよく"Network"という表現で、エキスプレスとメール事業を
まとめて表現していました。ネットワーク事業を中核事業としてとらえて、それに経営資源
を集中することで生き残りをかけてたようです。
また、事業活動もEUを中心として、東欧、アジア特に中国に集中するようです。
米国はすでにUPS、FEDEX、それにドイツポストによる競争が激しいため、最低限の注力で
顧客ニーズをカバーするのでしょう。
グローバルなワンストップサービスというのが、グローバル・ロジスティクス企業の条件の
ように理解していましたが、誤解だったことに改めて気付かされました。
もっとも、UPS、ドイツポストなどに売却するために準備しているなどとと穿った見方もある
ようです(TNTは否定しております)ので、今後の動向に注意して見たいと思います。
次回は、引き続きTNTを題材にあげて、企業価値(買収価格)算定について検討します。
***(4)TNTの具体的(05年アニュアルレポートから)***
A.エキスプレス事業
先進国ではマーケットが成熟しているが、中国、東欧などではまだ成長している。そのため両地域に積極的に展開する。
-東欧 自動車、ハイテク産業の進出の獲得
-中国 EU間との物流構築と中国国内のネットワークを構築
B.メール事業
オランダ国内では安定した収益。ただし、値下げや需要の減少など状況的には厳しい。
オランダ国内だけでなくEUからの規制も多い。EUの規制では、郵便事業での利益を他事業に投資することはできない。
そうした背景にあっても、ヨーロッパおよび他地域との国際郵便事業の展開を強化。
具体的には、ヨーロッパの郵便事業者の株式取得を検討。またChina Postと提携。
(ロジスティクス・ジャパン 06年12月10日の記事です)