運輸企業の組織的安全マネジメントに関する調査研究/国土交通政策研究所


運輸企業の組織的安全マネジメント手法に関する調査研究
?中堅・中小事業者の組織的安全マネジメントケーススタディ?

 国土交通政策研究所では、運輸企業の組織的安全マネジメント手法に関する調査研究として、「運輸安全マネジメント制度」を踏まえ、輸送の安全確保のみならず、労働災害等も含めた業務遂行上の安全リスクを、組織のトップから現場に至るまでが、組織として管理するノウハウ(組織的安全マネジメント手法)について広く他の産業分野における取り組みも含めて調査・分析を行ってきました。本調査研究の一環として、中堅中小運輸企業(バス、ハイタク、トラック、鉄道、航空、内航)に対する訪問調査結果の一部をケーススタディとしてまとめましたので、掲載いたします。

 安全に関して優れた企業に共通の特徴は以下のような点にありました。全ての点を完全に満たす企業はなく、どの企業も課題を抱えていましたが、何らかの形で以下のような特徴を企業内に有していました。印象的だったことは、マネジメントの質を担保し、安全を実現する前提として人材の確保、育成の戦略や方針が明確であり、結果として「強力に安全を推進する人材」が誰かいる、ということでした。


・企業の歴史の中で、現場を巻き込むために、忍耐強く一つのことを継続し、説き続けた時期がある。軌道に乗るまで3年ほどの時間がかかっている。
・トップマネジメントが自ら現場の実態を把握する。毎日現場へ足を運んだり、現場情報が即座にあがるダイレクトなコミュニケーションを行っていた。
・人材育成をコストではなく投資として考え、事故をはじめとしたロス削減や荷主の信頼向上を通じて回収をする意思決定がされていた。
・そのために管理者など中核となる人材を育成する戦略・方針が、トップの明確な意思として示されていた。
・その結果として、安全に対し、体を張って取り組む人材がいた。企業によりその役割は、トップであったり、管理者であったり、職長であった。
・管理者は相手が動いてはじめて仕事をしたことになるとして、何かを実践している。言った、伝えただけでは責任を果たしたことにしていない。
・班や、チーム、小集団など、個人を集団に巻き込み、周囲との関係の中で自分の役割に気づいてもらう工夫をしている。
・小さな接触でも事故は事故であると曖昧にせず、管理をしている。また、小さなことでも報告させている工夫をしている。
・安全や品質を追及することで、人、マネジメントの質を高め、結果として荷主・取引先・地域・従業員からの信用が高まり、収入増に結び付けている。

 また、組織的安全マネジメント手法について広く他の産業分野における取り組みも含めて調査・分析を行った成果として、文献調査をもとにした組織的安全マネジメント手法に関する「事例データベース」がまとまりましたので、併せて掲載いたします。

□事例データベース


経済産業省「成長戦略の次なる一手に関する調査分析」 報告書

経済産業省は、2014年度、日本の「稼ぐ力」創出研究会を開催し、日本産業界の成長戦略について議論を行い、その一貫として、「成長戦略の次なる一手に関する調査分析」調査が行われ、資料を公開しました。

インターネットを通じたBtoC販売で先行するネット通販は、物流について、当日配達や時間指定配達などのサービスの拡充を図るため、宅配業者に対して厳しい契約条件を課したり、近年では自ら物流の機能を持ち始めたりし、また宅配業者においても物流の徹底的な効率化を図っているが、新たに現れてきた製造小売業者もネット通販と同様、物流という課題が重要な要素となってくるとしています。


物流と教育

識字率の向上に伴う教育水準の向上が民主主義の発達に多きな影響を与えると
いう事実があります。物流でも同じで物流品質の向上には社員教育が大きな効
果を生みます。TNTの中国大学などがその典型例です。

作業系の品質向上だけではなく、環境分析、戦略策定、マーケティングなど
マネジメントレベルの教育も大きな効果が期待できます。対顧客でも業界知識
や商品知識などの収集、整理に役立つでしょうし、荷主などより知識面で優位
性を持つことも可能です。

ただ教育の効果測定は困難です。そのため物流業界では、OJTによる作業指導は
さかんに行われますが、マネジメント系の教育は、おろそかにされがちです。

ただ荷主も海外メーカーなどとの競争で幅広いマネジメントノウハウを学んで
います。物流企業も同等レベルの知識を学んで、業務に活用する必要がありま
す。物流セールスで活用できるマーケティング手法など実務に活用できる実践
な教育が求められています。


TNT エキスプレス分割

TNTがエキスプレス事業の分割を発表しました。2005年にロジスティクス事業を売却した選択と集中戦略をさらに一歩進めた格好です。低収益分野のメール事業をTNT本体に残し、成長分野のエキスプレス事業を新会社とすることで、成長する事業をさらに伸ばす戦略です。

メール事業はインターネットの発達できびしい状況です。そのため古い会社に残してリストラを推進する一方で、収益性の高いエキスプレス事業は2015年までに売上高11,000ユーロの2倍、EBIT1,000ユーロの3倍を目指しています。

ドイツポストの総合化戦略とTNTの集中戦略。両極端ですが、いずれにせよグローバル競争では、明確な戦略と意思決定が重要だと再認識できます。


2010年度ロジスティクス企業のグローバル経営環境レポート

2010年度日系ロジスティクス企業のグローバルな経営環境について外部環境分析したレポートをJ-Log eラーニング講座で提供しています。無料で参照可能です。
 
世界経済および政治の側面について、図表を使いながら多角的に現状分析を行い、日系ロジスティクス企業のグローバル活動の方向性について説明しています。

DPFファイルをご希望な方はJ-Log eラーニングサイトのカートより申し込みください。無料です。


(内容)
1.経済的要因 競争条件の大幅な変更
1-1新たな競争条件
1-2米国の国家輸出戦略と新興国の内需拡大
1-3日本と日本企業の対応策
1-4日本国内での対応
2.政治的要因 米国と中国の政策

A4 3ページ(PDFファイル)です。

 内容の一節です。 
「多極化する世界経済のなかで日本に地理的、歴史的に近い存在であり、今後も巨大市場となり続ける中国、インド、アセアン経済について概観する。
 中国は今までは加工貿易による輸出依存型経済であったが、欧米市場の減速で景気維持のため財政投資を伴う内需刺激策を採用し、ハイテク、インフラ産業を中心に財政投資を伴う、規制緩和など内需拡大による景気刺激政策を行っている。
 堅調な内需にも支えられ、自動車、家電業界などの外資系大手メーカーも国内販売重視に転換した。また外資系小売業も進出を積極化している。
 2004年と2030年の世界名目GDPに占める各国シェア予測によれば、2004年で中国5.5%なのが2030年には31%にまで成長する予測である。
 これだけ見れば、ロジスティクス企業を含む日本企業は中国に進出して黒字を確保して市場から撤退せず、生き残ることができれば、それだけで市場拡大に共にない十分に成長することができると考えられる。かつての日本の高度経済成長期の再現である。
ロジスティクス企業もいままでのように加工貿易に対応した輸出入ロジスティクス管理から国内ロジスティクス対応へ戦略変更が急務である。」

「日本経済へ影響が大きかった原因として、日本経済が米国市場に依存しすぎていたことを指摘している。米国偏重のため米国景気後退の影響が大きくなりすぎたのである。
 同じ輸出国でありながら特定国への依存度が低く、分散化、多様化が進んでいるドイツ経済の相対的な堅調さを指摘している。米国、中国だけでなく、地理的に近く地域、歴史的に繋がりある東欧、中欧との取引など、バランス良く、分散化が図られていることがわかる。
 ドイツ経済のこうした傾向を背景に「大手ロジスティクス企業のポートフォリオ戦略」(ロジビズ10年3月号)でも指摘した通り、業績が堅調なドイツポストやキューネ+ナーゲルなどロジスティクス企業も共通した傾向を持つ。
 一方、韓国企業は日本企業の開拓が遅れているインド、アフリカ市場へも積極的に進出している。アフリカ地域での液晶ディスプレー(LCD)テレビ市場の昨年のシェア(数量ベース)は、サムスン電子が36.4%でトップ、LG電子が20.7%で2位につけ、韓国企業の独占状態である。テレビ全体でも、シェア1位はLG電子(30.3%)、2位はサムスン電子(24.9%)が占めている。欧米でのスマートなビジネスに慣れ親しんだ日系企業ではみられないアグレッシブさをもっている。
 日本企業も、多極化するグローバル競争市場で生き残るには、かつてエコノミックアニマルといわれ、欧米東南アジア市場を席巻したバイタリティの再現が求められるであろう。」


マースクの経営戦略転換

マースクが選択と集中による組織再編を加速しています。AP Moller-Maersk 米国
プラスチック製造子会社をMBOで売却し、食品小売子会社売却を英国企業に売却し
ました。

背景には、2009年度の世界的不況によるコンテナ事業の不採算性と多角化経営によ
る拡大戦略の見直しがあります。定期コンテナ事業重視から石油、コンテナターミ
ナル事業重視に戦略を転換しました。会計上もコンテナ輸送とターミナルを含む関
連業務を別セグメント化しています。

ちなみにコンテナターミナルの重視は日系ではNYKも同様の方針です。

2010年度、第一四半期業績は原油価格の上昇、海上運賃の上昇で20%の増収となり
ました。純利益639百万ドルで、昨年の?373百万ドルから大幅改善です。

一方でコスト削減にも取り組んでいます。グループ企業の売却はコスト削減と選択
と集中戦略の一貫です。

貨物量は2010年度5%増加の見込みです。2009年度は150万FEUの輸送量でしたが、
2010年度上半期は180万FEUの輸送量でした。特にEUアジア間は18%増加する一方、
アジア域内では70%増加と大幅増でした。

輸送量の回復に伴い、海上運賃も平均2863ドル/FEUと2009年度比で18%増加です。
特にEUアジア間で16%増加しました。太平洋航路も5月以降運賃増加見込みです。

コンテナ輸送関連業務の純利益161百万ドルです。

DaMcoは、海上23%、エアー43%、SCM7%の増加です。

APMターミナルは取扱高が8%増加しました。。オークランドターミナルの稼働開
始が大きく寄与しています。塩田国際コンテナターミナルの株式をコスコ系企業か
ら買収することで、中国事業を拡張しました。

マースク、サーフマリンが20%増加した一方、それ以外の船社が39%の大幅増加で
す。Ebitda 115百万ドル(2009年度60百万ドル)です。


欧米大手ロジスティクス企業2009年度業績

ドイツポストは売上高は予想ほど落ち込みませんでしたが、大幅な減益となりま
した。原因は中核のメール事業の国際メールの不調、米国でのエキスプレス事業の
減収などです。
 UPS、TNTも大幅な減収減益になり、収益性が低下しましたが、それぞれの主力
業務である米国エキスプレス事業とメール事業で黒字を確保しました。
 エキスプレス事業を主力とするインテグレーター各社は世界金融危機の影響を脱
しきれず厳しい年となりました。ただし第四四半期からは国際海上コンテナ輸送で
の調整の影響もあり、業績が回復して売上などにはそれが反映されました。
特筆することは、ポートフォリオ戦略をとるK+NとDB非常に好調で、ほぼ例年
度並みの業績を維持したことです。各社とも主力業務と主力地域はありますが、他
社に比べてバランス良く分散することでポートフォリオ戦略が成功しているといえ
ます。
詳しくは、ロジビズ3月号掲載「大手企業ロジスティクス企業のポートフォリオ
戦略」の続編として、来月発表する予定です。
 

2009年度業績

DHL
Mail Express Freight Supply Chain Total
Revenue 13,684 10,312 10,870 12,507 46,201
EBIT 1,383 -807 191 -208 231
Net profit 644  EUR mil

TNT Mail Express Total
Rev. 4,216 5,956 10,402
Operating472 193
Income
EBIT 648
Net Profit 281 EUR mil

UPS
US Dome. International SC&F Total
Rev. 28,159 9,699 7,440 45,297
Operating 2,138 1,367 296 3,801
Profit
EBIT 3,366
Net profit 2,152 us$ mil

Fedex Total
Revenue  35,497
EBIT 677 us$ mil

KN Sea Air Contract Road&Rail Total
Rev. 7,572 2,857 4,345 2,511 17,406
EBITDA 376 159 201 52
EBIT 594
Net Profit 467 SFR mil

DB Total
Rev. 29,335
EBIT 1,685


プロフィール

  • Twitter

J-Log

エントリーリスト

カテゴリーリスト