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コラム 2010年1月のニュースから ― 組織再編の動向

1月だけでも組織再編について下記の記事を掲載しました。事業強化や営業地域拡
大のための組織再編と、コスト削減を意図したリストラやアウトソースなどの組織
再編に分類しました。

1強化
1)事業と地域の強化
DB Schneker Rail 伊NordCargo株式過半数取得
2)関連事業と地域事業の強化
KL 米国物流会社へ資本参加

2リストラ、アウトソーシング
1)選択と集中の推進
TNT チェコのコールセンター業務売却
TNT ドイツ子会社売却
2)アウトソース
ドイツポスト ITアウトソース推進

注目点は、TNTの非中核事業を売却することで選択と集中をすすめる戦略を強化し
ている点です。09年度は世界金融危機の影響でエキスプレス業界は軒並み減収演繹
ですので、業績悪化が要因となっているとは思います。

それでも06年以降進めるメールとエキスプレス事業からなるネットワーク事業への
集中戦略は見事です。ただ09年度のような市場の崩壊局面では、事業ポートフォリ
オの狭さがリスクとなることも明らかになりました。

ドイツポストのITノアウトソーシング推進も多少驚きでした。前例としてはマース
クがマースクデータをIBMへ売却したことがありました。メールサーバーの自社所
有をやめてGoogleのサービスを利用する例もありますが、高度化するITをすべて自
社管理するには経営資源面で制約が多くなりすぎているのだと思います。

クラウドコンピューティングの進展とともにロジスティクス業界でもトレンドとな
ると思われます。 


国際物流財務(3) 日本の物流コスト

JILS2007年度の調査結果の日本の産業別物流コストです。物流コストの算定は経産
省が発表した物流コスト算定マニュアルに基づきます。



売上高物流コスト比率

全業種 4.48%
製造業 4.79%
非製造業 5.00%
卸売業 4.96%
小売業 5.28%
その他 3.09%


物流機能別構成比
輸送費 58.20%
保管費 16.30%
その他 25.50%

支払形態別構成比
自家物流費 17.50%
物流子会社支払い 17.00%
事業者支払い 65.50%

領域別構成比
販売物流費 71.20%
社内物流費 20.20%
調達物流費 8.60%

特徴としては製造業よりも非製造業の方が売上高物流コスト比率が高く、その中で
も小売業高いことです。絶対額では製造業が非製造業より大きいはずです。

構成別では運送費の割合が6割あること、自家物流よりも下請けへの支払いが多い
こと、調達や社内物流より販売物流コストが多いことです。この運送費にはトラッ
ク、鉄道、航空、船舶なども含まれますが、最大のコストはトラック輸送費です。

以上から製造業において、販売物流の下請けへ払う運送費(特にトラック輸送費)
が最大の物流コストであることがわかります。

ちなみに、売上高物流比率は、上場企業の有価証券報告書から販管費と製造業原価
の物流関係項目を集計して算出したデータでは、JILSの半分以下となります。物
流に係わる人件費や施設費用などを正確に配費出来ていないためだと考えられま
す。

従って物流費を正確に把握する事が、物流コスト削減の第一歩であると言えます。



DBシェンカー コントラクト・ロジスティクス業務強化

DBシェンカーがコントラクト・ロジスティクスを強化するという記事がありまた。

具体的には自動車、消費財、電気、中規模産業機械の業界をターゲットに、米国、
ドイツ、中国でのコントラクト・ロジスティクス業務の受注獲得を目指しているよ
うです。いわゆる日本国内でいう3PL業務と同じ意味ですが、グローバル性の点
で広がりが大きいといえます。

具体的には、強化を目指す地域での倉庫・配送業務に、同社のネットワークを活用
した、航空・海上のフォワーディングによる調達・出荷物流を行うことを目指すよ
うです。

コントラクト・ロジスティクス事業の規模については、ドイツポストの
2008年度アニュアルレポートに下記情報があります。同社のアニュアルレポートの
充実度の参考例ともなります。

コントラクト・ロジスティクス 2007年上位5社

市場規模 EUR206billion \26,780
    シェア  売上
DHL 6.4% \1,714
Ceva 1.7% \455
Kuehnes+Nagel 1.4% \375
Wincanton 1.3% \348
UPS SCM 1.3% \348
単位10億円
出典: ドイツポスト推計

DBシェンカーの戦略は、同分野の市場成長率が高いこともありますが、DHL、
Ceva、K+Nなど競合が同分野を軸に成長を続けているための競争戦略も含ん
でいると思われます。

先日、従来は日系船会社やロジスティクス企業を起用していたソニーとSECが、
共同で欧州系フォワーダーなども含めたグローバル・ロジスティクス・ビッドを行
うとの記事がありましたが、間違いなくDHL、K+Nなどを念頭に置いたことだ
と思います。

こうした企業に対抗できるだけの日系企業がどれだけ存在するのか非常に不安です
が、日系メーカーは日夜グローバルな競争にさらされています。日本のロジスティ
クス企業も船会社だけでなく、真のグローバル企業に生まれ変わるための企業戦略
とその実行が求められていると思います。


国際物流財務(2)

日米欧の大手ロジスティクス企業の経営分析をする機会が数社のアニュアルレポー
トを比較する機会がありました。

内容的に欧州系ロジスティクス企業のアニュアルレポートが一番内容が充実してい
たと思います。

それぞれの特徴としては、

欧州系企業は、事業セグメント情報、地域セグメント情報などを事細かに説明して
おり、また企業戦略やブランド戦略などについても細かく説明があります。マーケ
ット状況や企業のおかれたマーケットポジション、企業の内部状況、企業戦略とし
て狙っていることなどが非常に明確に把握可能です。それだけで経営分析が行える
ほど充実しているといえます。

米国はそれに継ぎますが、米国中心の世界観をそのまま反映しているような印象で
す。事業・地域セグメントをみると収益構造が米国の事業に大きく偏っていること
も反映しているためかもしれませんが、米国国内事業を中心の事業だと非常に明確
に理解できます。

日本は数年前よりも格段に向上したと思いますが、もっと詳しいセグメント情報な
どの内部環境情報や、さらに欧米企業同様のマーケット情報など外部環境分析のた
めの情報などもほしいところです。

経営学的に、企業活動のグローバル化(国際化)の段階理論がありますが、アニュ
アルレポートからだけ判断するロジスティクス企業のグローバル化段階では、

国際化   日本
多国籍化  米国
グローバル化 欧州

という印象を受けます。


コントラクト・ロジスティクスの成長

K+NやCevaがコントラクトロジスティクス分野で売上を拡大しています。ドイツ
ポストやK+Nは、事業セグメントのひとつにコントラクトロジスティクスがあり
ます。ドイツポストは、グローバルプレート、サプライチェーンと同じ分野として
います。

2008年度までのK+Nについていえば、コントラクトロジスティクス業務を強化し
ていることが、好業績の大きな要因でした。2008年度だけでもサムスンやエアバス
など数多くのコントラクトロジスティクス業務の契約を獲得しております。05年か
ら08年にかけてコントラクトロジスティクスセグメントは売上高を約255%成長さ
せて、08年度4,732百万ユーロ(6151億円。130円換算)の規模をもちます。

コントラクトロジスティクスの定義ですが、期間、料金、サービス範囲などを明記
した契約に基づいて行うロジスティクスサービスです。倉庫と配送業務が絡むロジ
スティクス業務が該当する場合が多いと思いますので、実質的には日本でも多くの
ロジスティクス事業者が同分野でサービスを提供しております。ただ正式な契約書
を締結して、いるかどうかが大きなポイントです。

参考までにに契約書については国土交通省から3PL契約書ガイドラインが公表さ
れておりますので参照してください。

荷主の経営資源のコア業務への集中化、コスト削減を目的としたロジスティクス業
務のアウトソーシング化が背景としてあるものと思います。コントラクトロジステ
ィクス業務をグローバルに延ばすためには、ITの整備、幅広いワンストップサー
ビス、グローバルなサービス体制などが求められるといわれます。K+Nについて
は、事業強化のための欧州を中心とした組織再編を積極的に行いながら事業拡大を
図りました。


物流財務(1)

2016年から実施予定の国際会計基準に基づく会計基準の変更で、物流に関る点として、収益の認識時期が出荷時から到着時に変更されることがあります。すべてが到着基準になるというわけではなく、契約により出荷基準も適用されるのではないかと思います。

たとえば、貿易ではCIFとFOB契約の違いのような場合が考えられ、CIF契約の場合は船積時ではなく、船の現地到着時が計上時点となると考えられます。FOB契約では船が出港した時点となるのだと思います。この点は、詳しい情報がないため、今後調査してご報告したいと思います。

日経によれば、富士通は輸出製品の到着までの日数を計算して到着時点基準に変更したと記事が書かれておりました。

物流事業者への影響としては、今まで以上に厳密な輸送管理(到着管理)を行うことが求められます。いわゆる輸送の可視化が求められますが、そのためにはIT化が不可欠です。国際輸送に携わる物流事業者の場合、特にその点が重要ですが、整備には金と人材が必要ですので、中小企業の場合は困難を極めると思われます。

一方で、到着基準への変更による改善効果としては、売上を立てるための期末や月末の出荷集中化が軽減され、出荷物流業務の平準化が図れることが期待されます。作業員や荷役、輸送機器の配置が減り、コスト削減にも繋がるものと期待されます。


TNTの経営戦略 2 - 選択と集中

***(1)TNTの経営戦略 - 選択と集中 ***

前回の環境分析から考えられる戦略からTNTが選択した戦略を見てみたいと思います。

(戦略代替案)
*自社の強みと市場機会を活かすためには、エキスプレス、メール事業を強化して、
東欧や中国市場へ進出するという戦略案がある。

*弱みを補うためには、ロジスティクス、フレートマネジメントを強化して、
ワンストップショップへ対応するという戦略案がある。

結論としては前者を選択しております。

A.事業分野の選択と集中

USPやFEDEXのようにワンストップショップでなくてもエクスプレス、メール事業で成
長可能と判断して、エクスプレス、メール事業へ経営資源を集中させたようです。
そのための手段として下記の経営戦略が生まれたと考えられます。

ロジスティクス部門の売却 アポロ・マネジメントへEUR 1,480 million(2250億円)で売却。
http://www.j-log.sakura.ne.jp/eloginet/index.php?ID=13

フレートマネジメントの売却 GEODISへEUR460million(750億円)で売却。
http://www.j-log.sakura.ne.jp/eloginet/index.php?ID=22

事業売却により一時的にリストラを行い、資源を成長分野に集中させ、次なる成長を
目指していると思われます。

B.市場の選択と集中

事業分野だけではなく、市場についても選択と集中を行っています。
成長市場である東欧や中国への経営資源の集中と、中国とEU間の物流を強化しています。

一方で、世界最大の市場でもある米国市場は捨てているような感じです。
米国なしでもエキスプレスキャリアーとしてUPS、FEDEX、DHLなどと競合可能と判断して、
米国は強化しない戦略(JOC 17/7/06)という見方もあります。。

***(3)TNTの戦略から学ぶこと ***

本当に絵に教科書通りの選択と集中という感じです。
TNTのニュースを読んでいるとよく"Network"という表現で、エキスプレスとメール事業を
まとめて表現していました。ネットワーク事業を中核事業としてとらえて、それに経営資源
を集中することで生き残りをかけてたようです。

また、事業活動もEUを中心として、東欧、アジア特に中国に集中するようです。
米国はすでにUPS、FEDEX、それにドイツポストによる競争が激しいため、最低限の注力で
顧客ニーズをカバーするのでしょう。

グローバルなワンストップサービスというのが、グローバル・ロジスティクス企業の条件の
ように理解していましたが、誤解だったことに改めて気付かされました。

もっとも、UPS、ドイツポストなどに売却するために準備しているなどとと穿った見方もある
ようです(TNTは否定しております)ので、今後の動向に注意して見たいと思います。

次回は、引き続きTNTを題材にあげて、企業価値(買収価格)算定について検討します。



***(4)TNTの具体的(05年アニュアルレポートから)***

A.エキスプレス事業
先進国ではマーケットが成熟しているが、中国、東欧などではまだ成長している。そのため両地域に積極的に展開する。
-東欧 自動車、ハイテク産業の進出の獲得
-中国 EU間との物流構築と中国国内のネットワークを構築 

B.メール事業
オランダ国内では安定した収益。ただし、値下げや需要の減少など状況的には厳しい。
オランダ国内だけでなくEUからの規制も多い。EUの規制では、郵便事業での利益を他事業に投資することはできない。

そうした背景にあっても、ヨーロッパおよび他地域との国際郵便事業の展開を強化。
具体的には、ヨーロッパの郵便事業者の株式取得を検討。またChina Postと提携。

(ロジスティクス・ジャパン 06年12月10日の記事です)


TNTの経営戦略 1 - 環境分析 [

***** TNTの経営戦略 - 環境分析 *****

***(1)PEST分析(外部環境分析) ***

Politics  世界的な自由化の流れ
Economics 世界的な規制緩和(経済のグローバル化)、顧客の短納期・低コスト輸送の要請
Society  グローバル化への反対勢力の存在とリスクの拡大(テロなど)
Technology 航空機輸送能力アップ(航空機・空港の大型化など) 情報通信技術(IT)の高度化

(分析)
テクノロジーを活用して経営を強化できる企業にとっては、現在の政治経済の状況は大きなビジネスチャンスである。
一方で、リスクが拡大しているため、リスクマネジメントが非常に重要となる。

***(2)4C 分析 ***

Company メール、エキスプレス事業に強み。ロジスティクスの売却。フレート部門の低収益性。
Customer 短納期要請。低コスト要請。可視化などITサービス強化の要請。
Competitor インテグレーター(ドイツポスト、UPS、FEDEX)。フォワーダー(キューネ&ナーゲル、パナルピナなど)。
Channel グローバルネットワーク

***(3)SWOT分析 ***

強み:エキスプレス、メール事業の強さ、高収益性
弱み:ロジスティクスの低収益性。フレートマネジメントの低シェア。ワンストップショップへの対応の遅れ。
機会:市場拡大(東欧・中国の拡大)。エクスプレス、メールへのニーズの拡大(SCMの浸透)
脅威:ドイツポストの拡大戦略。UPS、FEDEXとの競合。シェンカー、パナルピナなど大手フォワーダーとの競合。

(分析)
*自社の強みと市場機会を活かすためには、エキスプレス、メール事業を強化して、東欧や中国市場へ進出するという戦略案がある。
*弱みを補うためには、ロジスティクス、フレートマネジメントを強化して、ワンストップショップへ対応するという戦略案がある。


(ロジスティクス・ジャパン 06年12月2日の記事です)


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