全員経営

小倉昌男さんの『経営学』を再度読み返しました。物流企業の社員育成のアイデアについて探すためです。

「社員全員がやる気を出し、与えられた仕事を自主的にかつ自律的にやり、目標とする成果を達成するには、どうしたらよいのか。キーワードはコミュニケーションである。具体的には、まず企業の目標とすることを明確にする。達成すべき成果を目標として明示する。時間的な制約を説明する。競合他社の状況を説明する。そして戦略としての会社の方針を示す。その上で戦術としてのやりかたは各自に考えさせる。しかもなぜそうするかを納得するように説明する。」(190頁)

「コミュニケーションの推進役として中間管理職が大事な役割を負っているのだ。彼らが任務を果たしてくれるかどうかが、なる気のある社員集団ができるかどうかの決め手であることを忘れてはならない。」(191頁)

「お客に接する機会が多ければ、やる気のある社員が育っていく。その意味で、製造業より三次産業の方が全員経営の体制をつくりやすいといえる。」(192頁)

本日の日経でヤマト運輸の2012年度中のアジア諸国への翌日配送が報道されていました。全員経営をアジア諸国で実践できているのだと思います。

ヤマト運輸と日本物流企業のグローバル経営の挑戦が始まっています。そのためのアイデアが詰まった本からこれからも学んで見たいと思います。


最先端の物流

モノつくりの最先端は手作りです。機械では作り上げることはできません。航空宇宙産業を見れば明らかです。

最先端のプログラムなど情報システムも当たり前かもしれませんが、人しか作り上げることはできません。やはり手作りです。

物流はもともと機械でできることが少ない分野ですが、医薬品など細かく繊細な商品では手作業になります。

最先端の物流を行うためには人づくりが最重要課題なのはそのためです。

物流には付加価値が低いために人づくり=教育投資が、特に中小企業では行われにくい分野です。

J-Logの活動を通して少しでも協力できればと願っています。


モラルの資源

日本の歴史、風土の中で江戸期から長い歴史をかけて培った日本的経営の基盤の上に、日本は第二次大戦後の高度成長を遂げてきた。日本は、周知のとおり石油や天然ガスなどの資源はほとんど皆無だし、農地も決して肥沃ではなく、地震、台風、洪水などの天災は多く、決して豊かな国土ではない。むしろ貧しい国である。こうした現状を日本人は歴史的に理解し、貧しさを克服するために、豊かな社会を夢見て日本人は懸命働いてきた。

宮崎市定は日本を支えたのは、自然を相手に無理をせず、功をあせらず、名を求めず、労苦に耐え、運命に忍従した農民的(農業や林業、漁業などに携わる人々)人生観に支えられたモラルの資源であったと指摘する。日本を支えたのは、武士道を唱えた第二時大戦前の軍人でもなければ、戦後の武士道なき官僚でもなかった。

「自然の資源の少ない日本においては、モラルの資源を愛護することを知らなければ、表面的にはどんなに経済成長を遂げようとも、見かけだおしのその繁栄はけっして長くつづくものではない。いわゆる経済の高度成長も、短期間で達成できたものは、また短期間で失い易いと覚悟しなければならない。」(宮崎496頁)
 
モラルの資源を基礎にして、恥の文化ともいわれる美意識や平等主義、序列意識などの日本的精神が存在する。モラルの資源が日本人を支え、日本の経済的成功の糧となった。日本人にとってモラルの資源は慈愛して、育むべき大切な資源である。


中小企業の物流教育の重要性

いうまでもなく仕事を行っていく上で経験と知識は重要です。経験は仕事を通じてしか得ることはできません。一方、知識は業務以外からも得ることはできます。経験を補うのが知識だと思います。

中小企業では、日常業務に追われて社内教育が不十分になることが多いのが現状です。特に物流となると、さまざまな本が出ていますが、範囲が広かったり、実務的でなかったりするため、学ぶことが難しいのが現状だと思います。

ちなみに公的な教育では、ビジネス・キャリア検定試験にロジスティクス・オペレーションとロジスティクス管理があり、検定用のテキストが比較的よくまとまっていると思います。

http://www.javada.or.jp/bc/

ただ物流についていうと、物流機能そのものの知識も重要ですが、むしろ物流現場での問題点とその改善策の見つけ方について学ぶことがとても重要だと思います。

ここは物流というよりも経営工学のIE(インダストリアル・エンジニアリング)の分野の応用として、物流工学の視点が非常に役立ちます。

この分野では難しい数式を駆使して分析するような大学教授の本などはありますが、中小企業が実務的な側面で、改善を行うために優しく書かれた本などはありません。

こうした背景からJ-Logでは下記2つのeラーニング講座を提供しています。

IEによる物流改善
http://www.logistics-japan.jp/school/index.php?ID=33&cID=3

人間工学による物流改善
http://www.logistics-japan.jp/school/index.php?ID=22&cID=3

IEの考え方を物流現場で実践的に活用する方法と、人間工学の考え方から物流事故の削減への取り組み方について説明しています。


真のビジネスリーダー

「(花崗岩)の石切り場にやってきた男が、石工に何をやっているのか、とたずねた。
 一人の石工は不機嫌な表情で、『このいまいましい石を切っているところさ』とぼやいた。別の石工は満足げな表情で、『大聖堂を建てる仕事をしているんだよ』と誇らしげに答えた。
 完成した暁の大聖堂の全容を思い描くことができて、しかもその建設工事の一翼を担っている石工は、ただ目前の花崗岩をみつめてうんざりしている石工より、はるかに満足しているし、生産的だ。真のビジネスリーダーとは、大聖堂を設計し、人々に完成予想図を示して、建設への意欲を鼓舞する人間のことである。」
(ヤン・カールソン『真実の瞬間』ダイヤモンド社1990年 pp187-188)

真のビジネスリーダーになるためのお手伝いを続けたいとおもいます。


中小企業のFTA対策の必要性

日本ではFTAの締結が遅れておりますが、韓国では米国、EU、インドなど日本がまだ締結できていない国・地域とのFTAを積極的に締結しています。またアセアン地域も米国やインドなどと積極的にFTAを締結しています。

国の政策の遅れをしり目に、大手メーカーはFTAを活用して韓国から米国やEUなど、またアセアン地域から米国やインドなどに製品を輸出することで、韓国や中国などの企業との競争に生き残りをかけて活動しています。

中小企業もそうした流れを受けて、今後、製品や部品の韓国やアセアン地域などへの輸出が増えるものと期待されます。

FTAを活用して輸出する場合には、原産地証明書の取得が必要となります。原産地証明書を取得して輸出することで輸入する側でFTA関税率が適用され、基本関税率より低い関税率で輸入することができる場合があります。

日本に輸入する場合も同じで、FTA締結国から商品を輸入する場合、FTA原産地証明書を添付することで関税率を低くできる場合があります。(輸入商品によって変わるのでそのあたりは良く調べる必要があります。)

2009年のデータですが、輸出にあたりFTAを利用した輸出割合は20?30%程度でした。理由は、いろいろありますが、FTAへの知識不足(30%)、原産地証明書の取得の煩雑さ(20%)などが挙げられていました。

3年経過しておりますが、あまり状況は変わっていないのではないでしょうか。今後、大手メーカーの動きが活発化することで、FTA利用を義務付けられる可能性も高いと思います。

早めに対応策を検討する必要があります。


中小企業トップのリーダーシップ

長野県下條村では、財政が厳しい状況から住民自らが道路舗装の作業を行うなどによって、インフラを整備しています。通常、住民税を払っている以上、インフラ整備などは自治体が行うこととが当たり前だと思われていますし、他人任せで生活しています。

しかし、下條村では村長が、財政状態を現状を包み隠さず公表し、整備及び維持管理のためにどれだけのコストがかかるのかを、なるべく数値で住民に対して示して、危機感を共有するとともに、粘り強く合意形成を目指した結果、住民自体が自らインフラ整備に取り組むまでになりました。60%の合意が得られればあとは実行に移すという実行力もありました。

あまったお金は、次世代育成のためなどに活用されており、出産率は2%を超えるなど、日本の平均を超えています。

こうしたことは中小企業経営でも教訓になるのではないでしょうか。

積極的に経営に関する情報を、数値化して具体的に社員と共有することで、社員と危機感を共有することは可能です。その上で、トップが目指す会社のあるべき姿に近づける方向に、社員の努力を生みだすことができます。

リーダーシップを発揮するには、それを支えるフォロワーシップが必要不可欠です。社員の共感を得るべく努力することも非常に重要です。



中小企業と大企業のトップの違い

今年3月の日経新聞の私の履歴書では大和ハウス工業会社の樋口武男会長の記事が載っておりました。非常に楽しく読ませていただきました。

いろいろ思うことがあったのですが、大企業のトップも中小企業のトップも悩みもがくことは本質的には同じなのだろうということを改めて確信しました。企業規模が違えばビジネスの規模も経営資源の規模も違いますから、企業全体ではビジネスのダイナミックさということは雲泥の差があるのは間違いありません。しかし、企業トップ1人でできることに限界はあるのは同じですから、トップが苦しみ、悩むことは基本的には同じなのだと思います。

企業ですから成長を目指すことが求められています。トップが成長のために常に仕事について考え抜き、新しい取り組みに率先して取り組むとともに、トップ1人ではやれることに限界がありますから、協力してくれる社員を雇用し、社員を活用しながらビジネスをダイナミックに業務展開をする必要があります。

社員を雇用すればその給与を始めとして育成や活用方法など経営者としての考えることも増えますし、責任も増します。これは会社の大きい小さいにはあまり関係ないのだろうと思います。中小企業のトップは権限委譲ができない分、経営上のさまざまなことに追いまくられて大変ですが、企業のトップは大企業も中小企業も同じく厳しいのだと思うと、自分だけが苦しいのではないと思えますし、わずかでも勇気がでてくるのではないでしょうか。






企業内物流部門の改善活動(2)

物流診断では、経営者や複数の社員にインタビューをするとともに、現場を何度も繰り返し見ます。インタビューの中で経営者や社員が認識している課題と、コンサルタントの立場から見る課題とを摺り合せながら、問題点を整理し、改善策、解決策を検討して、経営者や社員の方々と実践に移します。

物流現場そのものの改善は、やる気があれば比較的対応は可能です。しかし、「企業内物流部門の改善活動(1)」で触れたように、物流部門の問題には、社内のコミュニケーションなど全社的、組織的な問題が絡む場合が多いため、本当の課題の解決には、困難が伴います。

中小企業経営では社長がすべてともいえますから、まず重要なのはトップの意識改革です。次にそれを全社員に共有してもらうための社長のリーダーシップと、リーダーシップを支える社員のフォロワーシップが大切です。そこまで来るにはまず社長と社員との間の信頼関係が必要ですから、物流改善活動以前の問題ともいえます。


中小企業診断のバロメーター

物流部門は中小企業に限らず、企業内では弱い存在です。コストと改善課題の塊と見られがちです。最近の診断でもそれははっきりと見受けられました。

物流分野で働く社員の多くは、営業には向かない口下手ですが、まじめにコツコツ仕事をこなすことに、やりがいを感じる方々が多いのではないかと思います。地味ですが、縁の下の力持ち的な仕事にやりがいを感じながら、業務をこなす人が多いのではないでしょうか。これは物流業界で働く方々にも共通する点だと思います。

中小企業に限らず、物流部門への社内評価がある程度あり、物流部門への人・モノ・金・情報の資源配分が適切に行われ、物流品質が高い企業は、業績も高いものです。なぜなら、物流企業以外は、最も最後に資源配分が行われる業務ですから、物流部門の最適化が図られていれば、企業のバリューチェーン全体の最適化が図られるからです。中小企業診断では物流部門がバロメーターだと思います。


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