イノベーションのジレンマ

クリステンセンは、優良企業が合理的に判断した結果、破壊的イノベーションの前に参入が
遅れる前提を5つの原則に求めている。

・企業は顧客と投資家に資源を依存している。
  既存顧客や短期的利益を求める株主の意向が優先される。
・小規模な市場では大企業の成長ニーズを解決できない。
  イノベーションの初期では、市場規模が小さく、大企業にとっては参入の価値がないように見える。
・存在しない市場は分析できない。
  イノベーションの初期では、不確実性も高く、現存する市場と比較すると、参入の価値がないように見える。
・組織の能力は無能力の決定的要因になる。 
  既存事業を営むための能力が高まることで、異なる事業が行えなくなる。
・技術の供給は市場の需要と等しいとは限らない。
  既存技術を高めることと、それに需要があることは関係がない。

破壊的イノベーションへの対応

・破壊的技術はそれを求める顧客を持つ組織に任せる
  独立した組織をつくり、その技術を必要とする新しい顧客のなかで活動させる。
  企業の投資パターンを本質的に支配するのは、経営者ではなく顧客であるという、
  組織の強力な傾向と調和することを目指す。
・組織の規模を市場の規模に合わせる
  破壊的技術の商品化を目的とするプロジェクトを、小規模な市場の機会にも十分関心
  を持てるほど小規模な組織に組み込み、主流企業が成長しても、このような慣行を
  繰り返すこと。
・新しい成長市場を見出す
  成功する事業と失敗する事業の最大の違いは当初の計画の正確さではない。
  破壊的技術の市場は、たいていの計画システムでは上層部の注目をあつめることも
  ない、予想外の成功から現れることがある。そのような発見は人日の都声に耳を傾け
  ることによってではなく、人々がどのように製品を使うかを見ることによって得ら
  れることがある。
  
  「不可知論的マーケティング」
  破壊的製品がどのように、どれだけの量が使われるか、そもそも使われるかどうか
  は、使ってみるまで誰にも、企業にも顧客にもわからないという明確な仮定に基づ
  くマーケティング。

  市場へ発見志向の探索に出かけることによって、新しい顧客と新しい用途に関する
  知識を直接身に付ける必要がある。  


『企業変革力』コッター

リーダーシップ論の古典的名著です。

マネジメント機能とリーダーシップ機能の比較
1.マネジメント
・計画立案と予算設定
予定された成果を達成するための詳しいステップと予定表を作り、それらの信仰に必要な資源を割り付けていく
・組織化と人材配置
計画からの要請を達成していくための組織構造を作る。さらに組織に適切な人材配置を行い、計画遂行の責任と権限を割り付けていく。人材をガイドするためにポリシー、規則を作り、また実行過程をモニターする方法とシステムを作る。
・コントロールと問題解決
詳しく計画に対する実績をモニターする。計画からの逸脱を発見して、これらの問題を解決するための計画課、組織化を図る。
2.リーダーシップ
・方法を設定する
将来に向けてのビジョンを作り(かなり遠い将来までを見越した)、これらのビジョンを達成する上で必要な変革を実現しいてくための戦略を設定する。
・人材をあるべき方法に向け整列させる。
協力を求めるべき人材もに対して、進むべき方法を言語と行動でコミュニケーションしていく。さらにビジョンと戦略をきちんと近いし、かつさの妥当性を認めるチームと協力関係を作りげていくことに努める。
・モチベーションと意欲高揚
基本的ながら、満たされていない人間のニーズに応えることによって、変革の間に立ちふさがる大きな政治的、官僚主義的、資源上の障害をのち超えていくような人材を勇気づけていく。

ビジョンを生み、それを広く伝えられる人材
20世紀においては、教室や職場でビジネス専門職を育成する際にはマネジメント機能が圧倒的に重視されてきた。
過度なコントロールが行使されている組織では、リーダーシップの発揮が著しく阻害される。
21世紀に成功を収める企業は、リーダー養成の場とならなければならい。激しく変化を続ける環境では、才能を無駄にすることは大きな損害を生む。ここでリーダーを育てていくためには、よりフラットで、ぜい肉のついていない組織構造、さらにコントロールが過剰ではなく、リスクが許容される文化が要求される。
継続的に変化が続く環境で一貫して最大限にエンパワーメントが実現するのは、経営幹部がリーダーシップ発揮に励み、ほとんどのマネジメント機能を組織下部の人材に委譲しているような組織においてである。
幹部たちは、マネジメントではなく、リーダーシップの発揮にほとんどの時間を費やしており、さらに権限移譲を受けた従業員たちが、自分たちの仕事のグループを自ら管理している。

リーダーシップと継続的学習
オープンな態度で他人の発現に耳を傾け、新しいアイデアをテストし、成功のケースでも失敗のケースでも正直に内省する行動には、高い知能指数、MBAの修士号、人並み外れた経歴のいずれも必要ない。しかし今日では、人々が三十五歳を過ぎ、かつそのキャリアでかなりの成功を収めたあとには、このような行動を示す人々がごく少なくなる。しかし松下幸之助のような人物は、比較的簡単な手段を活用して、ほかの人たちが人たちを止めたり、後退している間に、自らを成長させ続けるのである。


『良い戦略、悪い戦略』

リチャード.P.ルメルト

戦略を野心やリーダーシップの表現とはきちがえたり、戦略とビジョンやプランニングを同一視したりする人が多いが、どれも正しくない。
戦略策定の肝は常に同じであり、直面する状況の中から死活的に重要な要素を見つける。そして、企業であればそこに経営資源、すなわちヒト、モノ、カネそして行動を集中させる方法を考えることである。
リーダーはまさにこの役割を果たさなければならない。

第一の価値 
良い戦略は驚きである。
新たな強みを生み出すこと。
ほかの組織はどこもそれを持っておらず、かつあたなかが持っているとは予想もしていないだけに、その価値は圧倒的だ。良い戦略は、重要な一つの結果をだすための的を絞った方針を示し、リソースを投入し、行動を組織する。歴史を振り返っても、このような戦略を持ち合わせている企業はそう多くない。
例 アップル

第二の価値 
強みを発見する。
多くの良い戦略に備わっている第二の価値は、新たな強みを知り弱点に気づくところから生まれる。これまでとは違う視点から、あるいはまったく新しい角度から物事を見直すと、気づいていいなかった強みやチャンス、あるいは弱点や脅威を発見できることがよくある。
例 ウォルマート

悪い戦略
空疎である
戦略構造を語っているように見えるが内容がない。華美な言葉や難解な表現を使い、行動な戦略思考の産物であるかのような幻想を与える。
重大な問題に取り組まない
見えないふりをするか、軽度あるいは一時的といった誤った定義をする。問題そのものの認識が誤っていたら、当然ながら適切な戦略を立てることはできないし、ひょうかすることもできない。
目標と戦略を取り違いている。
悪い戦略の多くは、困難な問題を乗り越える道筋を示さずに、単に願望や希望的観測を語っている。
間違った戦略目標を掲げている
寄せ集めの目標、非現実的な目標
戦略目標とは、戦略を実現する手段として設定されるべきものである。これが重大な問題とは無関係だったり、単純に実行不能だったりすれば、間違った目標と言わざるを得ない。

良い戦略の基本構造
1 診断
状況を診断し、取り組むべき課題を見極める。
良い診断は死活的に重要な問題をえり分け、複雑に絡み合った状況を明快に解きほぐす。
2 基本方針
診断で見つかった課題にどう取り組むか、大きな方向性と総合的な方針で示す。
3 行動
ここで行動と呼ぶのは、基本方針を実行するために設計された一貫性のある一連の行動のことである。すべての行動をコーディネートして方針を実行する。

戦略とは仮説
新しい戦略とは、科学の言葉で言えば「仮説」である。そして仮説の実行は「実験」に相当する。
実験結果が判明したら、有能な経営者は何がうまくゆき何がうまくいかないかを学習し、戦略を軌道修正する。
知識の限界でうろうろしているとき、確実にうまくいく戦略を要求するのは、科学者に確実に真実である仮説を要求するのと同じことで、理不尽な要求である。
良い戦略を立てることと、良い仮説を立てることは、同じ論じ構造を持っている。違いは、科学的知識の多くは共有されているが、経営に関して蓄積された知恵は業界や企業固有である点。
要するに良い戦略とは、こうすればうまくいくはずだ、という仮説にほかならない。理論的裏付けはないが、知識と知恵に裏付けられた判断にもとづいている。会社の職員以上に知識と知恵を持ち合わせている人は誰もいない。


カルロスゴーンのリーダーシップ

リーダーは感情よりも合理性と理論を優先させなければならない。結果を出すと思うからこそ、部下はついてきてくれる。ゴーンにとっては結果を出すことこそが目標で、そのためには変化をいとわない。出来事を的確に把握し、合理的な判断を迅速に下し、組織を動かしていく。

危機はリーダーの真価を問う最良の機械であり、危機を経験することでリーダーは大きく磨かれます。危機に対処するにあたり、まずリーダーにとって重要となるのは、客観的な状況判断と分析です。危機はリーダーだけではなく、組織の実力も浮き彫りにするのです

危機の最中には、リーダーは短期的な危機対応と中長期的なビジョンを両立させなければなりません。次に重要なのは「権限移譲」です。危機においては、経営トップに権限を集中させない方がいい。すべてをリーダーが支配し決めるような体制では、迅速さに欠けることになり、危機を乗り越えることは到底できません。短期と長期の処方箋を定めたら、現場に権限を委譲します。
東日本大震災では、いわき工場が甚大な被害を受けました。そのとき、私は工場長に投資や地域社会での行動など、通常以上の決裁権をあたえました。予算の枠を超えても、現場の判断で投資できるようにするためです。本社は優先課題の進捗状況を把握はするぐ、個別状況への対応は現場に任せました。
現場が復旧プランを立案し、本社はそれをばっぷアップする。最優先は従業員の安全、そして、次に生産の継続。この優先順位をきめることで、ビジョンと現場の対応を両立っせました。
経営者は当事者意識をもって経営危機に参画することです。経営者hは最も厳しい状況、すなわち危機の現場に自ら出向くのが基本です。リーダーが現場をサポートすることを示す必要gああります。

内なる危機については、明快な優先順位をつけること、社員に闘う価値があるビジョンだと納得してもらうこと、ビジョンを実現するために納得してもらうこと、ビジョンを実現するために吉備イ決断を下すこと。これば「日産リバイバルプラン」の全貌でした。

解決策は社内にあったのです。社員たちは、おのおのの責任領域で会社を好転させる方法を知っていました。問題は全社的な視点が欠けていたことでした。コンサルティング会社などは不要でしたよ。セクショナリズムは、これまで経験してきた多くの企業において共通した問題でした。
そこでクロスファンク所なるチームを発足させました。各部門から人を集めて協力させる仕組みで、派閥主義や縦割りをなくkし、全体最適を追及するツールです。一部の人たちが理解していたことを、全体最適の観点からまとめることが狙いでした。そして、CFTの結論に対して、「もっと挑戦できないかと私が要求していくことを繰り返しました。
購買コストを5%下げる提案をしてきました。ところが、それは他社との比較において明らかに不十分でしたので、一層のチャレンジを要求しました。最終的に、20%削減という目標を掲げることができました。

達成できなければ総退陣する。NRPにおいて、ここまで強いコミットメントを発したのは、日産が本当に深刻な状態にあり、死が迫っていたからです。3年間という期限付きの明快な定量的目標これが未達成なら総退陣という宣言が加わり、ようやく皆が真剣に注目してくれたのです。ゆえに、社員全員が参画意識を持った。こうした高まった社員のモチベーションが維持できたのは、成果が早く出始めたことも大きい。

最後に、経営者の勇気に触れて終わりましょう。危機的な状況にあっても経営陣が長期的な会社の存続に必要な決断を下すことを躊躇することが少なくありません。それはなぜか。厳しい決断というものは、短期的には非常に軋轢を生む不都合なものだからです。

躊躇の背景をさ来ると2つの理由があるように思います。まず、長期的な想定がない、つまり状況が理解できていない。そして、勇気がない。リーダーは、必要な時には勇気をもって闘わなければなりません。NRPを発表した時も、多くの懐疑的な声や批判がありました。ただ、私自身は、これが正しい解決策だと信じていました。だからこそ、闘ったのです。

提携を成功させる秘訣は「心構え」
アライアンスの目的はシナジーを生むことです。重要なのは決して「台数(規模)を追求する」ためのものではないということです。規模は、シナジーの結果でしかありません。
緊密な関係を持ちながらも、「お互いにとってメリットがないことはしない」のがポイントです。シナジー追求という観点に立てば、パートナーを対等の立場で尊重するのは当たり前だからです。このスタンスをしっかりと守るからこそ、アライアンスが実際的に機能するのです。  
アライアンスに特別な成功の秘訣やプロセスはなく、ただ「心構え」が重要なのです。相手に敬意を表し、尊重する。そのうえでプロジェクト思考で物事を進め、シナジーを出すことに専念するのです。

リーダーは人の心の機微に、しっかり対応しなければいけません。ですが、その判断においては、合理性と理論を優先させなければならない。結果を出すと思えばこそ、部下はついてきてくれるのですから。

付け焼き刃の人材育成だけでは限界がある。多様性を認める企業風土を醸成し、組織や制度もつくかえれば、多様性を受け入れるグローバル人材がおのずと育ってくる。
「企業を変えるのは人だ。なぜ役員が優勝な部下の顔も名前もしらないのだ」。1999年、日産に乗り込んできたゴーン氏は、役員らをこう叱責した。

リーダーとは「変革者」
リーダーとは一体何か。私の考えは一言に尽きます。「変革者」、すなわち、現実を実際に変える人です。これは、政治でもビジネスでも社会でも同じことです。
痛みがあるからこそ筋力がつくのです。会社の抵抗も同じです。もちろん抵抗がありすぎるなら注意しなければいけませんが、目的地がわかっているなら、リーダーは妥協すべきではありません。

「人がやりたいと思っていないことでも、熱意をもってやるように仕向けるのがリーダーだ」
「人間の常識はビジネスの常識よりも重要」
「私は問題を指摘する人間ではなく、問題の解決法を携えてやってくるような人間を探し求めている。」
「リーダーの役割はものとごをシンプルにする」




永守重信「情熱・熱意・執念の経営」

個人の能力の差というのはせいぜい5倍くらいですが、意識の差は100倍になるというのが、わが社の採用と教育のベースとなっています。つまり、最初から高い能力を持った人を採用するというよりは、ごく人並みの能力を持つ人を採用し、私自身が先頭に立って、社員の士気を高めることに全力を傾注してゆきます。わが社が創業32年で売上高4800億円の企業グループに成長した要因は、社員の意識を変えたことに尽きると思っています。

社員に対する最大の福利厚生は、本人の能力アップだというのが日本電産の考えで、仮にわが社を辞めて他社に移ったとしても通用する能力の開発を最優先していく方針を貫いてきました。

やると決めたことは最後までやり抜き、何があってもギブアップしないリーダーの下では、部下も否応なしについていかざるを得なくなります。

一人の百歩より百人の一歩
会社の要諦はどこにあるのかといえば、一人の社員の百歩に頼るのではなく、百人の社員に一歩ずつ歩んでもらうという地道な前進をいかに継続させていくかにあると持っています。

経営の極意
原理原則にしたがって、当たり前のことを当たり前にやっていくということで、これ以上でもなければ、これ以下でもありません。
「継続は力なり」という言葉がありますが、一切の妥協や譲歩を許さず、誰にでもわかっている当たり前のことを、淡々と持続させていくこと以外に成功する極意も秘訣も存在しません。メーカーにとって当たり前のことは、世の中で求められているものをどこよりも安いコストで作ることです。

優良企業の共通点
当たり前のことを当たり前にやり、その日にやるべきことを翌日に残さないという2点が、優良企業に共通するポイントです。会社の業績があがらないのは、社員のせいではありません。8割以上が経営者の責任です。つまり、トップ自らが意識を変えて、この2点を徹底して実践してゆけば、会社は変わり、優良企業の仲間入りを果たすことができます。まずはトップの高い意識があって、それに社員が共鳴すれば、会社全体の意識が向上してゆくのです。

数字でビジョンを描く
将来のコストやマーケットの情勢を数字で見通すことで将来ビジョンを描ける経営者でなければ、会社はこれからの時代を生き抜いていくことはできないと痛感しています。

倒産会社の共通点
この十数年間の間に倒産寸前まで追い込まれていた20社以上の会社の経営権を譲り受けて、再建にあたってきました。そのほとんどが大企業の子会社でしたが、共通していたのは、工場の清掃が行き届いていない、出勤率が悪い、社員同士であっても挨拶をしないといった、当たり前のことができていないということでした。赤字会社を黒字にするのは決して難しくありません。固定費の多くを占める人件費を見直し、といっても切り詰めるのではなく、出勤率を高めて、工場をきれいにするだけで赤字が黒字になります。

社員の意識を変える
日本電産は十数年前から20社以上の経営不振企業を譲り受けて、再建活動に取り組んできました。社長や役員を後退させることも、社員をリストラすることもありません。基本的には、同じ人、同じ商品で再建を進めてきました。では、何を変えたかといえば、トップ以下社員全員の意識です。社員の意識が変われば、社員の行動が変わり、会社は生まれ変わることができるのです。


永守重信(日本電産社長)「人を動かす人になれ」

このラーメン屋の経営者はラーメンの味にこだわる以上に店員の意識改革にこだわっているのだと思う。私の人材に対する考え方もこれとまったく同じ。能力の高い人を採用するというよりも人並みの能力を持つ人材を採用して、彼らの意識を高めることに全力を傾注する。わが社が創業25年で、売上高2600億円の企業グループに成長した要因はここにある。

「なぜそんなに企業をどんどん大きくしたいのか」と経営者仲間からよく質問を受ける。こんなとき、わたしは即座に「雇用創出のため」と答える。なぜなら、人間を中心とした社会にあって、人が多く集まる集団をつくること、それも目的を同じくする人の集まりを大きくし、一人でも多くの人が働ける会社をつくることが、経営者の永遠のテーマだと考えているからだ。


「コンテナ物語」

1970年代後半の海運産業は、必死で規模を追い求めていた。船が大きくなればコンテナ輸送コストは下がる。港が大きくクレーンが協力になれば、荷役コストは下がる。70年代初めに主流だった20’コンテナはすでに40’コンテナに取って代わられ、荷役時間も船の船舶時間も大幅に短縮されていた。こうしてコストが削減されれば、その分を有効な投資に回すこともできる。これは好循環といってよいだろう。コンテナ1個当たりのコストが下がれば運賃を下げるころができ、運賃が下がればたくさんの貨物を集荷できる。そうなれば単位コストはますますさがる、という図式である。コンテナ輸送は、規模の経済がモノを言う産業の代表格だった。

コンテナ時代が到来すると弱小企業に生き残る余地はなくなった。・・貨物が多いほど固定費を分散できるからだ。事業範囲を広げれば広げるほど、たくさんの貨物、たくさんのコンテナを確保できる。それにネットワークを拡大すれば、グローバル企業を顧客に抱えるチャンスが増えるという大きなメリットもあった。

規模の追求は、隻数の増加だけでなく船自体の大型化をも意味する。1966年に大西洋を横断した最初のコンテナ船、しーだんどのフェアランド号は全長140メートルに過ぎなかったが、60年代末に登場したコンテナ専用船は、180メートルに達している。そして72年頃から就航した高速船は、全長270メートル、幅24メートル、喫水12メートルはあった。ここまで大きくなればもう限界かと当時は思われたものである。北米大西洋岸からアジアに向かうにはパナ運河を通らねばならいが、この運河の水門は、船幅32.3メートル以下、喫水12メートル以下でないと通れないからだ。だが石油ショックが思わぬけがの功名をもたらす。燃料節約のため平均速度が落とされた(73年には平均25ノットだったのが、84年には20ノットになった)おかげで船を流線形にする必要がなくなり、積載能力が強化されたのである。78年に就航したコンテナ船は、どれも3500TEUを運ぶことができた。

パナマックス級と呼ばれる大型船は、コンテナ輸送コストが格段に減っている。まず建造費そのものが、能力に比して安い。3000個のコンテナを運ぶ船は1500個を運ぶ船の2倍の鉄鋼を使うわけではないし、2倍の馬力を持つエンジンが費用でもないからである。しかも新しい船ほど操縦が自動化されるから、ノリ区民の数が少なくて済み、人件費が軽減される。燃料消費量にしても、船のサイズに比例して増えるわけではない。また、198年代に建造された船の積載能力は4200TEUに達したが、1トン当たりの輸送コストは3000TEU級の船より40%すくなく、1800TEU級と平ベルトなんと60%以上すくなかった。コンテナ輸送における規模の経済の効果は大きく、しかもはっきりしていたから、1988年になるとパナマ運河を航行できなほどの大型船も発注されるようになった。

港の巨大化にはコンテナ船の大型化と同じ理屈が働いている。つまり、コンテナ1個当たりのコストをできるだけ切り詰めるとうことである。大量のコンテナはほとんどとどまることなく通り過ぎてゆく。船会社は、高い元でのかかった船をできるだけ遊ばせないよう、ごく少数の港を中止にルートを組み立てた。地理的条件に縛られないとなれば、コストが安い方がいいに決まっている。荷役コストはどこが安いか。係船料その他のポートチャージは、また、港から内陸部への輸送の便は・・。こうして、輸送ルートの始めから終わりまでにかかるトータルコストがルートを選ぶ決めてになった。この新しい港の地理学は、従来とは異なる貿易パターンを生み出す。・・・日本からサンフランシスコ向けの貿易は、ごく近くのオークランドではなくシアトルに贈られた。シアトルからサンフランシスコまで鉄道ゆそうしても、寄港先を減らす方が安上がりだからである。

繁栄する港をもった都市は、大きな経済効果が期待できる。港周辺の都市圏には陸運、鉄道、倉庫などが集中するから通関業者や運送業者が大量に必要になるし、港湾関係の事業からの税収も期待できる。・・東京やロンドンのように巨大都市を抱える港が反映するとは限らないのである。決定権を握るのは船会社であり、大型船にコールしてもらうために、港は競わなければならなかった。

港はバースやターミナルを用意し有力船会社と長期リース契約を結ぼうと躍起になったが、めでたく契約締結にこぎつけても、必ずしも利益がもたされるとは限らなかった。港をスイッチするのは船会社の勝手だったし、現実にそういうことはひんぱんいあったからである。そうなれば港は最低保証料しか手にすることはできなかった。アメリカでは契約後1年以内に30の船会社が港を乗り換え、港によっては輸送量の激減という悲劇に直面している。

こうして港湾事業にはリスクがつきまとうものだということが、ようやく政府にもわかってくる。・・・打開策を最初に打ち出したのは、イギリスのマーガレット・サッチャー首相である。サッチャー政権は、1981年に21の港を民間企業に売り渡した。・・ほとんどの民間事業体の手で運営されるようになる。事業体には荷役会社、輸送会社、海運会社などが出資した。そのころには海運会社は巨大企業と化しており、港湾運営に必要な資本を調達できるようになっていたのである。






『組織は戦略に従う』

組織改革者の気質と素養

ウッド(シアーズ社長)は任天的魅力と温かみにあふれた人物で、事業帝国の構築者と組織構築者の両方の性格を強く併せ持っていた。氏が成功を収めたのは、実務埋没せず、経営戦略に専念したからだろう。本書で紹介したほかのどの経営者にもまして、社内のニーズと社外の事業機会に注意を払い続けた。

経営者が受けた教育や培ってきた経験と、組織ニーズへの取り組み方とのあいだには、ある程度の相関関係が認められる。社内の各組織を体系的に関係づけることに大きな関心を寄せた人々は、大多数がエンジニアリング分野の教育を受けている。

組織課題にいち早く目をとめた人々の多くがエンジニアリングを学んだという事実が、どの程度大きな意味を持つかは不明だ。科学・エンジニアリング分野の課題を解決するには厳密さが求められ、それゆえ彼らはマネジメント・ニーズにも同じように取り組んだのかもしれない。
 いずれにせよアメリカで企業組織の合理化、体系化が進む過程では、エンジニアが大きな役割を果たしたといえる。

組織改革者たちの共通点は、エンジニアとしての素養やエンジニア的な発想だけにとどまらない。みな比較的若く、責任ある地位に就いてほどなく組織改編に関心を払いは始めたのだ。
シアーズのフレイザー委員会も、30代後半から40代半ばまでの人材で構成されていた。ニュージャージー・スタンダードの取締役や年配者が多く、特筆すべきことに、彼らが退任して世代交代が一気に進んだ後にようやく、組織再編が前進したのだ。シアーズ、デュポン、GMの3社でも、組織改編が行われたのは経営陣が大幅に入れ替わった直後だった。

新組織の立ち上げや改編の完了が遅れたのは主に、新市場への参入に伴うマネジメント・ニーズを経営陣が見過ごしたからである。・・・彼らは、問題が販売、財務、製造などの主要活動ではなく、組織にかかわっているという事実を見落としてしまう。あるいは、日々の実務に忙殺されるあまり、あらたなニーズが生まれていることに気付かなかったり、そのニーズにこたえるのに適した組織を構築しそこなったりした。・・・他方、エンジニアリングの素養、マネジメント課題への理論と分析を主体としたアプローチ、若さ、昇進からの歳月が浅い点などはすべて、経営陣が新たなニーズに目をとめ、組織改革者になるのを助けるようだ。


「ザ・会社改造」三枝匡

プロ経営者の7つの条件
1.どんな状況の会社に行っても、短期間で問題の本質を発見できる人
2.それを幹部や社員にシンプルに説明できる人
3.それに基づいて幹部や社員の心と行動を束ね、組織の前進を図れる人
4.そしてもちろん、最後に成果を出せる人
5.業種、規模、組織カルチャーなどの違いを超えて、どこの企業に行っても通じる汎用的な経営スキル、戦略能力、企業家マインドを蓄積している。
6.その裏付けとしてプロ経営者は、過去に修羅場を含む豊富な経営経験を積んでいる。難しい状況に直面しても、これはいつか来た道、いつか見た景色だと平然としていられる。
7.プロには自然にそれなりの高いお金がついてくる。

フレームワークの重要性
経営者の優劣はフレームワークの有無で決まる。
フレームワークとは、物事の本質や構造を理解し、わかりやすく説明るための枠組み。
有能なリーダーは何か異常を発見した時、頭の引き出しの中に「本来ならこうだ」「正常ならこうだ」というイメージや考えをすでに持っている。それと照らし合わせて、目の前の状態が正常か異常かを判断する。
有能なリーダーほどフレームワークをたくさん持っていて、場面ごとに使い分けている。

時間の戦略
「時間」は三枝のビジネス人生のなかで決定的に重要な役割を果たしてきた戦略概念
90年代初め、トヨタ生産方式は単なる生産改善手法ではなく、、企業の時間の戦略として機能していると米国人コンサルタントが喝破。
リエンジニアリング、サプライチェーン、ERP、インダストリー4.0へつながる。
企業の競争性を高めるには、社内の仕事のプロセスを見直して「時間短縮」の武器を導入する必要がある。

経営の切断力
惰性に任せてきた経営の流れを切断し、組織の新しい方向性を導き出し、それを実行すること。
まずは問題のボトムに潜む本質に迫り、問題の構図を単純化する。
それに基づいて新たな戦略を組み立て、いま、そこにいる人々のマインを再結集させ新たな外への戦いに向かっていく。

日本企業の改革のあるべき姿
日本企業を元気にするポイントは、人減らしの発想ではなく、いまそこにいる人々の目を輝かせる手法を追求すること。
日本人はもともと優秀。弱体化した化日本企業が海外企業に勝てる最後のよりどころは日本人の能力の平均点の高さ。
経営リーダーが戦略を明確に打ち出し、共感した社員がスクラムを組んで走り始めたら、これが同じ会社かと思うくらい何倍もの働きを始める。
三枝は過去に手掛けた事業再生で何度もそれを経験した。
そこには、欧米企業が絶対にまねできない日本的メンタリティーが作動している。
それが日本企業が追求すべき改革の姿。


『コーチング入門』

コーチングは、問題解決と合わせて非常に重要なビジネススキルである。

コーチ(馬車)の責任
1.クライアントとともに、実現したい目標に道筋をつけ、探求し、明らかにする。
2.クライアントの自己発見を促す。
3.クライアントの中から生まれてくる解決方法や戦略を引き出す。
4.責任をもってクライアントを守る。

コーチの役割
「クライアントが日常生活やビジネスにおいて成果を得るように手助けするためのオンゴーイングのパートナー」
「学習・パフォーマンスを上げ、生活の質を高める」役割を果たす人
セッションで「耳を傾け、質問を投げかけ、クライアントがどんなことに焦点を当てて話し合うかを決めることにより、クライアントが行動を起こすように」する。
コーチングは「幅広い視点を与え、選択肢に気付かせること」で、クライアントの現状と目標、そして自発的な行動に焦点を当てて、それを促進してゆく。

ティーチングとの違い
コーチングの力点は、一人ひとりの内側にある可能性、能力、やる気、自発性、責任感、アイディア」などを引き出すことにある。教え込むのではなく、引き出す。
ティーチングがすべての人に対して、同じ内容を直治方法で伝える画一的なアプローチであるのに対して、コーチングは個々の相手に対して、指導すべき内容と方法を変える個別のアプローチ。

コーチングのエッセンス
信・任・認
信 「人間の可能性を信じる」「上司・部下関係の信頼関係を築く」
任「適材適所を任せる」「任せて任せず」
認「相手の良いところを見て、心にとめる」

コマンディングからデリゲーションへ
コマンディング
 一方的な指示命令。自発性の乏しい指示待ちとなってしまう。
デリゲーション
 主体性を引き出すために任せる。自立性の高い人材の育成。
経営のスピードを上げていくためには、現場で臨機応変な対応ができる人材の育成が不可欠。現場で、細かい実務的な改善が積み重ねられることが、業種の如何を問わず、競争力の源泉になる。任せっぱなしにするのではなく、任せた後、心理的なフォローのコミュニケーションが大切。

コーチングには、傾聴、質問、承認のスキルが必要となる。


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