中小企業経営

2011.10.16

「世のため人のために」を考える会社に人はあつまる

「最近は買い物でも、品揃えが豊富、値段が安い、駐車場が広いといった理由でなく、「あの会社は、いいことをやっているから」という理由で店を選ぶ人が増えています。・・・自分たちが儲けるためでなく、会社のため、なかでも社会の弱き人々のためにやっている。そういう会社の商品を買いたいと思い、また就職したいと思う。これは、いままでの経営学にはなかったことです。」
『会社は家族社長は親』坂本光司・渡邉幸義著 PHP研究所 229頁

障がい者を積極的に雇用しながら増収増益を続ける企業の経営について紹介した本の一説です。障がい者を雇用することがどれだけ企業経営にメリットを生むのか詳しく書かれていて、驚くと同時に、感動を覚えました。

環境関連商品などもそうだと思いますが、消費者の購買意識などはいままでのコスト優位、価値優位だけでは簡単に割り切れない状況です。考えてみれば、価値というのは人によって異なるわけですから、必ずしも金銭的な価値だけを表すわけではなく、社会・道徳的な価値判断もあり、そうした側面を重視する人々も多く存在するのは事実です。

よい社会にするためには、金銭的な側面だけではなく、社会にとって良いことをする企業、特に中小企業が存続し、さらに増えることを望みたいと思います。そのためのお手伝いを続けてゆきたいと思います。





2011.10.16

中小企業の財務改善 損益分岐点分析(4)

コスト削減策には、固定費削減と変動費削減があります。

固定費は自社内部で行えるものですから、削減を実際には、固定費削減の方が取り組みやすいといえます。ただしある程度取り組むと限界が生じるのも事実です。そのため変動費の削減も課題となります。

また固定費と変動費の削減では、変動費の削減の方が損益分岐点を低下させるという点では、効果が大きいと一般的には言えます。

製造業の場合の変動費をもう一度見てみましょう。

  変動費   直接材料費、買入部品費、外注費、間接材料費、そ
        の他直接経費、重油等燃料費、当期製品知仕入原
        価、当期製品棚卸高―期末製品棚卸高、酒税。

材料費、部品費、外注費など固定費同様に、例外なく徹底的に内容を見直すとともに、調達先、外注先とは粘り強く、交渉を続けることが必要です。



2011.10.03

ビジョンの伝達と権限委譲

「全社員に責任を分散し、ビジョンを伝えれば、彼らにより重い責務を
課することになるのは明らかだった。情報をもたない者は責任を負うことはできないが、情報を与えられれば、責任を負わざるを得ない。従業員は、私たちのビジョンを理解すると、熱意をもって責務を引き受け、いっせいに多くの目覚ましい成果を上げた。・・・
 実際、私たちのアイデアは、目覚ましいものではなかった。…私たちが実施したアイデアの多くは、すでに研究報告としてまとめられていた。」(ヤン・カールセン『真実の瞬間』39頁)

小学校で朝礼があります。子どもたちは聞いていないようで良く聞いて、できるだけ守ろうと頑張ります。

これは大人でも同じです。こうした当たり前のことを地道にやっている企業が強く、素晴らしい成果を上げることは事実です。

当たり前のことを、当たり前に、愚直にやり続けること。これが一番大切です。



2011.10.03

真のビジネス・リーダー

「新しいビジネス・リーダーとは、他人の意見の聞き役、意思伝達者、人材教育者であって、自らすべての意思決定を行うというよりは、むしろ適正な環境を作り出すことのできる、人々をやる気にさせるオープンな経営者である。
 かつては、そのような手腕は女性に特有なものとみなされていた。昔の農業社会では、家族と共同体との良好な関係の維持は女性の役割だった。しかし、その女性の直観力と他人に対する思いやりは、今日の経営者にとって必須の資質なのである。だが残念なことに、それは一朝一夕に身につけられるものではない。」(ヤン・カールセン著『真実の瞬間』ダイヤモンド社1990年51頁)

現在のリーダーシップ論では、傾聴やフォロワーシップなどがよく説明されます。一昔前とはかなりことなります。

「女性の直観力と他人に対する思いやり」の部分を読んでなるほどとおもいました。現在の日本のような成熟した社会で、サービスが重視される経済状況では、女性的な感性がとても重要となるのだと思います。女性の活用は非常に重要な経営テーマだと再認識しました。



2011.10.01

中小企業の財務管理 損益分岐点分析(3)

損益分岐点の改善方法

損益分岐点分析により、黒字化するために必要となる売上高(損益分岐点を上回る売上高)が分かります。

対策には、売上高を上げるのが一番簡単のようですが、顧客もあり、直ちに効果を生むことはできません。

一方で、変動費や固定費は自社の内部のことなので、これらを削減することによっても、現在の売上高のままでも損益分岐点を下げることができ、ひいては黒字化することができると理解できると思います。

ここが、損益分岐点分析の一番重要なところです。

売上高を上げなくても、黒字化を達成することができるのです。あたりまえのようですが、数値でみれば、どの程度変動費や固定費を削減すれば良いか、シュミレーション可能ですから、やる気も起きると思います。

まずは、固定費を良く見直しことが重要です。

もう一度、固定費を見直してみたいと思います。

【製造業】
  固定費   直接労務費、間接労務費、福利厚生費、減価償却
        費、賃借料、保険料、繕料、水道光熱費、旅費、交
        通費、その他製造経費、販売員給料手当、通信費、
        支払運賃、荷造費、消耗品費、広告費、宣伝費、交
        際・接待費、その他販売費、役員給料手当、事務員
        (管理部)・販売員給料手当、支払利息、割引料、
        従業員教育費、租税公課、研究開発費、その他管理        費

労務費、福利厚生費はなかなか難しいので、他の部分から、聖域を設けずに見直すことが必要だと思います。

水道光熱費、旅費、通信費、支払運賃、荷造費、広告費、宣伝費、交際・接待費など。いかがでしょうか。まだまだ見直せる部分がおおいのではないでしょうか。



2011.09.28

日本的経営の基礎構造(2)

災害列島

日本は豊かな自然を持つ反面、自然的、地理的な条件から自然災害が多い。日本的経営の形成の基盤となった江戸期を例にあげると、江戸期は小氷期とよばれる地球的規模の気候寒冷化の時代であったが、その被害が顕著になったのは、寒冷化の第二ピークとなった宝暦・天明(1780年代)・天保期を中心とする18世紀中期から19世紀中期のほぼ1世紀であった。
江戸時代の特徴は土地に物的生産の基礎を置く社会であったこと、耕地や森林など土地の生産物が人々の日常生活を支え、風や水という自然力に依存する社会であった。そのため稲作を基礎とする農業社会にとって問題となるのは、冬の寒さと降雪よりも冷夏や長雨による日照不足と低温であり、それがもたらす飢饉であった。ただ凶作には同じ地方であっても地形などの違いから、地域差があった。
さらに社会的な要因として、日頃の備えが飢餓の有無を左右するという現代的な要因や、隣接地域、例えば隣の藩からの救済措置が取られなかったというような江戸時代特有の要因もあった。
都市化が進み、人口が密集するにともない、地震や火事などの被害が大きくなる。これは現代にも通じることで、江戸時代においても人口増加と耕地開発により生活圏が拡大したことが災害による被害規模が拡大した。
江戸時代は階級社会であった。人口現象も階級社会の影響を大きく受けた。多くの農村で上層農民は下層農民より、女性のどの年齢階層でも出生率は高かった。階層間格差によって、上層農民では早婚と多産によって家の存在が確実に行われ、さらに分家を出したり、養子に出すことでその家系を拡大することができたのに対して、下層農民ではしばしば家を継ぐ子供を確保することに失敗して絶家となって家系が消滅することも珍しくなかった。減少した下層人口を上層から下降した家族が埋め合わせたのである。出生力の階層間格差は結果的に農民層の分解を阻止して、農村社会の安定を保つ機能を果たした。
日本社会の特徴として、農家の世帯は直系家族制をとることを規範とする制度であったから、少なくとも跡継ぎ要員と目される子供はーしばしばそれは長男であるがーどれくらい賃金を得られるかとは無関係に、婚期が決定される傾向にあった。跡継ぎ要員は土地と屋敷を親から自動的にそっくり継承することがきまっているから、結婚のタイミングを決めるのは、確実に子孫を残すために何人の子供を産まなければならないか、という人口学的要因のほうが重要であった。
全国的な人口は1600年頃で1500万人、1720年頃には3200万人と寒冷化は17世紀から起きていたにもかかわらず人口は成長を続けた。しかし18世紀になると一転して減少に転じる。それは18世紀が寒冷化の極であったうえに、3000万人を超えた人口が、日本列島の収容力の限界に近づいていたことが要因であろう。事実、1870年頃でも3300万人と1720年以降150年間はほぼ横ばいであった。経済発展による過度な開発の結果、列島は気候変動を吸収するだけの余力を失っていたのである。



2011.09.23

日本的経営の基礎構造(1)

照葉樹林文化

照葉樹林とは、ヒマラヤの中腹あたりから東へ、ネパール、ブータン、アッサムの一部を通り、東南アジア北部山地、雲 南、貴州高地、長江流域、朝鮮半島南部を経て、西南日本に至る東アジアの温暖帯に沿って分布する常緑広葉樹林のことである。わが国では九州西部から秋田県 海岸部、岩手県南部を北限とする地域に分布している。 照葉樹林では、樹木の種類が硬葉樹林や落葉樹林にくらべて非常に多い。ドングリのなる植物、ブナ、ナラ、クヌギ、クリ、カシ、シイなどのブナ科の樹木が主力である。

日本の照葉樹林は本場といえる。照葉樹林が一つの特色ある文化の発生母体になりうるほどの面積をしめているところは他の国にはない。例えば、大陸の東岸にある暖温帯という条件であたってみると、米国の東岸やアジア大陸の東岸あたりには、当然ひろい照葉樹林帯があっていいはずだが、実際には見当たらない。

北米の歴史はあたらしいので、白人がはいってくる以前の植生がかなりよくわかっているが、雨量が足りないため、ひろい照葉樹林がかつてあったという形跡はない。中国の揚子江流域は照葉樹林があってしかるべき場所だが、中国の平地は徹底的に原始的な自然が破壊されつくしたので、まったく手がかりがない。

東アジアに連続する照葉樹林帯には、共通する文化要素が数多く継承されており、1966年中尾佐助氏によって「照葉 樹林文化」と命名された。その文化的要素の中ではとくに、アワ、ソバ、餅、オコワ、甘酒、茶、納豆、コンニャクなど、食文化に関するものが私たちの生活に 継承され親しまれている。照葉樹林は日本人の基層文化の一つを育んできたのである。

日本の風景美の美しさは、照葉樹林と豊かな森と、海に囲まれた火山列島であることと豊富な降水量という自然条件、さらに維持されたのは近代以前の日本人が風景の保護に努めてきたためなのである。日本列島の緑の美しさは自然そのままのものではない。数千年にわたってこの島に生きてきた人々の日々の営みが作り出した歴史的な遺産であった。こうした自然条件が日本人への思想、生き方に影響を与えつづけているのは間違いない。



2011.09.19

中小企業の財務改善 損益分岐点分析(2)

原価を変動費と固定費に分解することを固変分解といいますが、これが結構厄介です。勘定科目表、高低点法、最小自乗法などさまざまな方法があります。

勘定科目法 
財務諸表の各勘定科目ごとに変動費、固定費を分解する方法です。

高低点法
過去の総原価のデータから、最高と最低のデータから、原価の推移を直線とみなして(変動比率が一定とみなして)、固定費と変動比率を求める方法です。

最小自乗法
過去の売上高と原価データから、エクセルなどの回帰分析で、固定費FCと変動費率αを求める方法です。

総費用曲線をYとすると

Y=VC+FC=αS+FC

となり、これが売上高曲線(45度線)Sと交差する点が損益分岐点SBEPとなりますので、

SBEP=αSBEP+FC 

すなわち

SBEP=FC÷(1-α)

となります。高低点法、最小自乗法の際にご参照ください。

勘定科目法による固変分解については中小企業庁方式をご参照ください。
http://www.chusho.meti.go.jp/bcp/contents/level_b/bcpgl_05c_4_3.html

【製造業】
  固定費   直接労務費、間接労務費、福利厚生費、減価償却
        費、賃借料、保険料、繕料、水道光熱費、旅費、交
        通費、その他製造経費、販売員給料手当、通信費、
        支払運賃、荷造費、消耗品費、広告費、宣伝費、交
        際・接待費、その他販売費、役員給料手当、事務員
        (管理部)・販売員給料手当、支払利息、割引料、
        従業員教育費、租税公課、研究開発費、その他管理        費

  変動費   直接材料費、買入部品費、外注費、間接材料費、そ
        の他直接経費、重油等燃料費、当期製品知仕入原
        価、当期製品棚卸高―期末製品棚卸高、酒税。

【卸・小売業】
  固定費   販売員給料手当、車両燃料費(卸売業の場合5
        0%)、車両修理費(卸売業の場合50%)販売員        旅費、交通費、通信費、広告宣伝費、その他販売
        費、役員(店主)給料手当、事務員(管理部門)給        料手当、福利厚生費、減価償却費、交際・接待費、
        土地建物賃借料、保険料(卸売業の場合50%)、
        修繕費、光熱水道料、支払利息、割引料、租税公         課、従業員教育費、その他管理費。

  変動費   売上原価、支払運賃、支払荷造費、支払保管料、車        両燃料費(卸売業の場合のみ50%)、保険料(卸        売業の場合のみ50%)、注:小売業の車両燃料         費、車両修理費、保険料は全て固定費。

【建設業】
  固定費   労務管理費、租税公課、地代家賃、保険料、現場従        業員給料手当、福利厚生費、事務用品費、通信交通
        費、交際費、補償費、その他経費、役員給料手当、
        退職金、修繕維持費、広告宣伝費、支払利息、割引
        料、減価償却費、通信交通費、動力・用水・光熱費
        (一般管理費のみ)、従業員教育費、その他管理         費。

  変動費   材料費、労務費、外注費、仮設経費、動力・用水・
        光熱費(完成工事原価のみ)運搬費、機械等経費、
        設計費、兼業原価。

厄介かもしれませんが、コストダウンを考える場合、勘定科目法による詳細なコスト分類が非常に重要となります。



2011.09.17

中小企業の財務改善 損益分岐点分析(1)

管理会計の手法で損益分岐点分析があります。企業の売上高、原価(コスト)、利益の関係を分析する手法です。

企業の原価は、変動費(Variable Cost)と固定費(Fixed Cost)に分類することができます。変動費は営業活動に比例して増減する原価です。材料費、外注費、運送費、販売促進費(広告費)などが変動費に該当します。固定費は営業活動に関係なく固定的に発生する原価です。支払家賃、人件費、減価償却費、支払利息などが固定費に該当します。

利益(P)=売上高(S)-(変動費(VC)+固定費(FC))

の関係が成り立ちます。

変動費は売上高に比例して変化すると仮定されるため、正比例の関係があり下記方程式が仮定されます。

変動費(VC)=売上高(S)x変動比率(α) 0<α<1

変形すると 変動費α=売上高S÷変動費VC の関係が成り立ちます。

利益にも、限界利益(marginal profit)という概念があります。固定費を除く前の利益のことです。

限界利益=売上高-変動費

方程式で展開すると

限界利益=S-αS
=(1-α)S

となります。1-αを限界利益率(m)といいます。

以上をまとめると、

売上    S
変動費(-) αS(VC)
限界利益 (1-α)S
固定費(-) FC
利益 P=(1-α)S-FC

ここで損益分岐点(Break Even Point : BEP)ついてですが、利益も損失も発生しない売上高(SBEP)のことを指します。すなわちP=0となる売上高のことを指します。

式からは、

P=0=(1-α)S-FC

S(SBEP)=FC÷(1-α)

と計算できます。

計算の前提となる変動費、固定費の条件のもとで、損益ゼロの売上高を意味します。その売上高を超えれば、利益が出るし、到達しなければ損失が発生していることを意味します。

ちなみに利益についてですが、営業利益と経常利益で計算する場合いずれもあります。実際には、営業利益ベースで算出することがおおいと思います。





2011.09.13

中小企業の権限委譲

社員への権限委譲は非常に難しい経営課題です。社員のモチベーションアップのためには、大幅な権限委譲が重要です。一方で、中小企業では社長の役割が非常に大きいため、過度な権限委譲は会社を傾かせる恐れもはらんでいます。また、権限委譲という言葉は、管理の放棄という危うさもはらんでいます。社長が管理を忘れて、成り行き経営陥る危険性もあるのです。

どの程度の権限委譲すればよいのか、しない方がよいのか、これは企業の置かれた状況や、社長と社員との関係、企業風土などさまざまな要因がからむため、一律に規定することはできません。

ただ、一ついえるのは、人の集まりである企業が活性化され、ダイナミズムを発揮している企業は、社長と社員の方向性が一致しており、活気があるということです。その中で、社員と社員一人一人に課されたあたりまえの役割をあたりまえにこなしているという事実です。

特別に権限委譲などといった難しい言葉を使わなくても、自然と役割分担が行われているというのが本当のだろうと思います。そうした企業ははた目からみても活気が合って、非常に魅力的です。社長と社員が良くコミュニケーションをとっているという共通点があります。

コミュニケーションの方法もさまざまですので、型にとらわれる必要はないと思います。大切なのは、社長と社員が、会社のこと、仕事のこと、生き方のこと、家族のことなど、さまざまなことを本音で語りあい、励ましあう場を作ることだろうと思います。





中小企業経営



RSS2.0

login



ページの先頭へ戻る